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前核期人為的透明帯除去法(ZP-free)を実施し2名の方が妊娠されました

2025.2.14
お知らせ
生殖技術部門より

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受精卵には、卵細胞質のまわりに透明帯(Zona pellucida : ZP)と呼ばれる殻が存在しています。稀に、卵細胞質と透明帯が癒着している受精卵があり、その癒着を原因として卵細胞質が細胞分裂する際に多くのフラグメント(細胞質のかけら)が発生し、胚盤胞への発育を阻害することが知られています。前核期人為的透明帯除去法(ZP-free)とは、そのような受精卵に対して前核期(採卵翌日の受精確認後)に人為的に透明帯を除去し、卵細胞質と透明帯の癒着を切断する方法です。ZP-freeを実施することでフラグメント発生の低下および培養成績が向上するといわれており、2020年に世界で初めて妊娠・出産が報告されました。

昨年当院で、胚盤胞になりにくく、分割期胚時点でもフラグメント発生が顕著な2名の患者様に対してZP-freeを実施した結果、2名ともに良好な胚盤胞が得られ、妊娠が成立しました。受精卵が得られても、その後の胚発育が不良で胚移植が実施できない患者様にとって有効な方法であると考えております。

現在、保険適用はされていないため、自費での採卵の方のみが実施できる方法にはなりますが、興味のある方は診察の際に医師に適用をご確認ください。